データサイエンスで役になった洋書(和訳本なし)

おすすめの和書はいろんな人が紹介しているが、洋書の紹介は少ない。

 

以下、和書ではあまり書かれていないことが書かれていて面白かった書籍をリストアップ。若干古めだが。

 

"Causality: Models, Reasoning and Inference" by Judea Pearl 

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ベイジアンネットワークや統計的因果推論の立役者である Judea Pearl 先生の古典的名著。「因果 〜モデル・論理・推論〜」。先生の研究において、実験データの解析における交絡や介入の効果を数学的記述からきちんと基礎づけされた。その功績が認められてチューリング賞。その研究をまとめた書籍。ただし、実務者が勉強として手に取るにはフィロソフィカルすぎるかもしれない。(和訳なしと思っていたが、横浜国立大学の黒木先生が訳されていた。ならばこの本、もっと有名になってもいいはずなのに)

 

"An Introduction to Probabilistic Graphical Models" by Michael I. Jordan

勉強を始めるのに、まずはネットに転がっている無料資料から漁る。そして、見つけたグラフィカルモデルにまとめた解説記事。統計学の Michael Jordan 先生。統計学の先生は、資料もソースコードも無料で提供されていることが多いため、ありがたい。

 

"The Elements of Statistical Learning" by Trevor Hastie, Robert Tibshirani and Jerome Friedman

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これは研究室のポスドクのリサーチャが教えてくれた。Trevor Hastie 先生ら大御所先生が書かれた統計的機械学習の集大成本。セオリからきちんと解説。しかもただでpdfで落ちている。これも和訳なしと思っていたが、杉山先生、井出先生たちが訳されていた。和訳はただではないが。

 

"Bayesian Reasoning and Machine Learning" by David Barber

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機械学習系は、アメリカ西海岸の大学の先生が多い中、David Barber 先生は UCL。ベイズ統計の推論や学習への応用について書かれており、研究始めに、このテキストを読み込んで勉強した。これも、古いバージョンならばpdf化されていた。当時、Deep neural networkが話題になっていた時期だが、イギリス含む西ヨーロッパの大学の先生は、 流行りに乗らず Bayesian を貫いているなと思った記憶がある。

 

"The Book of Why: The New Science of Cause and Effect" by Judea Pearl and Dana Mackenzie

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Causality について一般向けに書かれた Pearl 先生の書籍。研究室のphD学生に教えてもらって買ったが、実はまだ全て読んでいない。ざっと見ると面白そうなトピック(因果の3段階など)が書かれている。しかし、訳されていないよう。

 

" The Master Algorithm : How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World" by Pedro Domingos

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2015年刊行の書籍。当時、機械学習の全体観を知りたく、レビュー記事を漁っていたら、この書籍にたどり着いた。機械学習を、そのアルゴリズムのコンセプトによって、Evolutionaries, Connectionists, Symbolists, Bayesians, Analogizersの5つに分類している。それらを統合した真の機械学習アルゴリズムを設計する必要があることを説いている。アルゴリズム研究そのものが evolutionary であるため、 1直線に統合できるかは疑問だが、示唆に富み面白い。

 

"Risk Assessment and Decision Analysis with Bayesian Networks" by Norman Fenton and Martin Neil

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ベイジアンネットワークのリスクアセスメントへの応用について書かれた教科書。実応用を意識しており、具体例を上げて解説。使い込んだ。

 

こうしてみると、専門的すぎる書籍は、翻訳出版が難しいのだなと思わさせられる。

とりあえず以上。思い出したら更新する。